地球大に考える

アクセスカウンタ

zoom RSS 渡辺京二「黒船前夜」連載開始!

<<   作成日時 : 2008/07/21 02:08   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

著者の本の中では最もよく売れ、読まれもした『逝きし世の面影』(1998)の続編にあたる連載が、10年ぶりに熊本日日新聞夕刊で、7月10日から始まっているという。web上では読めないが、著者インタビューが同紙に載っているので紹介したい。
“「逝きし世の面影」には「日本近代素描1」とサブタイトルを付けた。付けなければよかったと重荷に感じているが、2は開国を書こうと考えている。ただ、いわゆるペリー来航を中心とした幕末から維新に至る“歴史”は書く気がしない。
これまで、明治維新については批判的な見方はあっても、それによって日本の近代が開かれたという意義は誰もが認めていた。しかし近年は、明治維新がつくり上げた近代国民国家というものが今日の不幸を呼び寄せた元凶だとの見方もある。維新のとらえ方が混とんとしてきていて、いきなりは踏み込めない。
では、どういう角度から書いていくか。「逝きし世―」でも取り上げたが、一つは異文化との接触だ。
私が書く歴史は、エピソードから成り立っている。政治史や経済史ではない。それが人間の歴史だと思っている。外交の過程でも、政治史に出てこないような異文化との接触で生じる食い違いなどが重要と思う。外交記録などの中から、あまり知られていない新鮮なエピソードを取り上げ「逝きし世―」の手法で書いていこうと思う。
開国に向けた過程は早くから始まっている。その中では、十八世紀末から十九世紀初めにかけて、ロシアが日本に開国を促したのが大きな出来事だったと思う。
ロシアと日本のかかわりには面白い面がある。一つは蝦夷(えぞ)をめぐる駆け引き。ここにはアイヌがいる。アイヌが住むクリール(千島列島)から南樺太(からふと)辺りをどちらが手に入れるかという争いだ。
十八世紀末ごろのロシアと日本は、双方とも近代的国民国家を形成していく過程にあった。十六世紀から近代が始まったとする最近の世界史の理論でいえば「アーリーモダン」の段階。十九世紀の産業革命以降、現代へとつながる新しい近代が始まる。ペリー来航は、新しい近代を迎えたアメリカと、まだアーリーモダンの段階の日本との接触だった。
しかし日ロの接触は違う。共にアーリーモダンの段階にあり、新しい近代を模索していた。そうした時に、近代国民国家を形成しようとせず、違う道を歩んでいるアイヌという民族と出合って、どちらが取り込むかという駆け引きをやった。そこが面白い点だ。
ロシアに関しては、日本へ手を延ばしてくる過程のシベリア開拓史も面白い。アングロサクソンとは違うけた外れの欲望があり、何とか日本にやって来て交易したいと考えている。その中にもさまざまなドラマがある。
一方、日本側から見ると、ロシアの脅威が迫ってくるのは蘭学(らんがく)の興隆期に当たっている。田沼意次(おきつぐ)が幕政の中心にいた時代で、経済的にバブル期でもあった。このころから新しい精神的、文化的な動きが起こってきて、日本の近代を模索していける時代になった。そこでロシアと接触し、交渉していくということになっていく。
それから、限られた連載期間の中でどれだけ書けるか分からないが、北方での動きとセットで取り上げたいのは沖縄。琉球には早くからイギリスが来ているし、幕末にはフランスが訪れる。外国船と沖縄の対応を扱った通史は少ないので、書いてみたい。北方と南方の二つを書き、「日本近代素描2」にしたいと思っている。”
http://kumanichi.com/watanabe/

著書を見ると1930年生とあるので、御年78歳のはずだが、驚くほど若々しいコメントではないだろうか。
18世紀末から19世紀初めにかけての日ロ関係というと、フランス革命の起こった1789年に起きたアイヌの最後の蜂起(クナシリ・メナシの戦い)や、そのときにアイヌの列像を描いた蠣崎波響などの話が出てくるのだろうか。
蠣崎波響は、絵画を建部凌岱や宋紫石に学んだ南蘋派であっただけに、個人的には興味が湧く。
画像

最近やっと、著者の『日本近世の起源』(洋泉社)を読了したが、網野善彦を代表とする中世の自由への幻想を、1990年代の歴史学者の論文をあまた引用してばっさりと切り捨てているところに驚いた。
マルクス主義から出発して、かなり様相の異なる史学に行き着いたという点では、個人的には双方に共感するところがあったのだが、この点については不明を恥じるほかない。
近代を批判的に捉え近世を再評価する論者と、近世を批判的に捉え中世を再評価する論者の違いなのだろうか。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
「日本近世の起源」感想
渡辺京二著「日本近世の起源 戦国乱世から徳川の平和(パックス・トクガワーナ)へ」を読む。 「逝きし世の面影」で俗にいうネット右翼の間で名高い作者の本だ。 洋泉社MC新書として、復刊された本を読んでいる。 「逝きし世の面影」の直接の続編として、平和な江戸時代がなぜ成立したか... ...続きを見る
異をとなえん
2009/01/17 19:15

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
渡辺京二「黒船前夜」連載開始! 地球大に考える/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる