近い将来のノーベル賞候補(日本人)

前回、鬼籍に入られたノーベル賞に値した方々を挙げたので、
その続編として、存命中の、今後十分受賞する可能性のある方々を勝手に列挙させていただこう。
なお、筆者は自然科学系についてはまったくの門外漢だが、調べれば調べるほど、あちこちで可能性のありそうな研究者が紹介されていて、深みにはまっていくので、特にめだつところから独断と偏見で以下の方々を選ばせていただいた。
次のブログとHPは特に参考にさせていただきました。
http://hermite.exblog.jp/5724413/
http://chokanji.hp.infoseek.co.jp/math/history/prize.html
できれば研究者の方々も、間違いの訂正も含めて、コメントをお願いします。
(候補者の名前をクリックすると、引用元などにジャンプします。)

まず、今年日本人は受賞しなかった【生理学・医学賞】から。
石坂公成(1925- アレルギーの原因となる物質「免疫グロブリンE (IgE)」の発見およびアレルギー作用機構の解明)
東京大学医学部→ジョンス・ホプキンス大学免疫学部長→ラホイヤアレルギー免疫研究所所長
アメリカの免疫学会の会長をしていたことも。今は引退して奥様の介護をしているそうですが、もうご高齢で心配。アレルギーで人は死なないかもしれないけれど、この先生を飛ばして他の免疫の研究者が受賞するのもヘンかと。

遠藤章(1933- 微生物の青カビから心臓病の治療薬となる新薬「スタチン」を開発)
東北大学農学部農芸化学科→三共株式会社。2008年にアメリカの医学・生理学賞であるラスカー賞を受賞。
スタチンは高コレステロール血症や心筋梗塞(こうそく)などの治療・予防薬として、100カ国以上で販売され、3000万人が服用している「奇跡の薬」と呼ばれている。 発ガン性を疑われて何度もダメになりかけたスタチンを復活させた執念がすごい。

小川 誠二(1934- MRI(磁気共鳴画像装置)を利用し、脳の活動を画像化するfMRIの基礎原理を発見)
東京大学工学部応用物理学科→スタンフォード大学Ph.D.→ベル研究所→濱野生命科学研究財団小川脳機能研究所所長→東北福祉大学特任教授。2003年ガードナー国際賞を受賞。
ベル研究所時代にMRIでマウスの脳活動の変化を見ようとしていて起こったトラブルから、血流増加による磁性変化を画像化するfMRIの原理を発見。前頭葉下部が脳内に記憶された情報を出し入れする機能を担っていることや、左脳前頭葉の言語中枢に「文法中枢」があることも、fMRIを使った研究で判明した。(「産経ニュース」2009/6/22より)

浅島誠(1944- 生物の分化をつかさどる誘導物質「アクチビン」を世界で初めて特定)
東京教育大学理学部→東京大学大学院理学系研究科→横浜市立大学文理学部教授→東京大学副学長
アクチビン濃度の違いや他の物質との組み合わせ方により、両生類において未分化細胞から16種類に及ぶ人工器官をつくり出すことに成功。15年間にわたり、助手も院生もいない横浜市立大学で、一人こつこつと誘導物質の存在を信じて100種類以上の物質で実験を繰り返したという...。

審良静男(1953- 自然免疫の機能解明)
大阪大学医学部→大阪大学免疫学フロンティア研究センター拠点長。
自然免疫をつかさどる受容体たんぱく質の詳細な働きを特定し、免疫研究に新しい視点を与えた。高等植物を含む生物一般の防御システムへの理解に貢献、感染症に対するワクチンなどの臨床研究にも大きな影響を与えている。(毎日新聞 2010/9/10記事より)
2008年の「トムソン・ロイター引用栄誉賞」を受賞。研究所の若手の研究成果も出ている。

山中伸弥(1962- 人工多能性幹(iPS)細胞を生成する技術を開発)
神戸大学医学部→大阪市立大学大学院医学研究科→奈良先端科学技術大学院大学遺伝子教育研究センター→京都大学再生医科学研究所
今では超有名人になったが、もとはといえば幹細胞で実験するたびに、500頁の書類を提出させるアホな官僚に嫌気がさして幹細胞を人工的に作ろうとしたのが、iPS細胞を生成するきっかけになったそうである。
http://d.hatena.ne.jp/o-kojo2/20071121

こうして見ると、東大から次第に地方の国立大学へ研究者の幅が広がっていることが見て取れる。今でも東大が圧倒的に予算枠を確保しているにもかかわらず。山中教授が70億円の国家予算を獲得したことは、ニュースでもかなり大きく報道されてますね。

【物理学賞】
近藤淳(1930- 近藤効果=金属の電気抵抗極小現象に関連した多くの異常特性を理論的に解明)
東京大学理学部物理学科→東京大学物性研究所→産業技術総合研究所
「近藤効果」は物性物理のみならず素粒子物理にまで大きなインパクトを与え、ナノテクノロジー開拓にも必須の基本的概念となっている。

外村彰(1942- ホログラフィ電子顕微鏡の開発とアハラノフ-ボーム効果の実証)
東京大学理学部物理学科→株式会社日立製作所中央研究所
自称「顕微鏡屋」。ベクトルポテンシャルが物理的な実在であることを証明した。AB効果を予言したアハラノフ氏らと共同で受賞することが期待されている。

十倉好紀 (1954- 高温超伝導体の普遍性の実証)
東京大学大学院物理工学専攻教授。産業技術総合研究所 強相関電子技術研究センター長(併任)。
高温超伝導物質の一般則 (Tokura Rule)の発見、酸化物巨大磁気抵抗(CMR)の発見と機構解明。

赤崎勇(1929-)・天野浩(1960-)・中村修二(1954-)
青色LEDの実用化
窒化ガリウムを用いた高輝度の青色LED開発に関しては日亜化学工業の中村修二が有名であるが、基礎技術の大部分(単結晶窒化ガリウム(GaN)やp型結晶、n型結晶の作製技術やpn接合のGaN LED)は赤崎勇(名古屋大学→現・名城大学教授)、天野浩(名城大学教授)等により実現されている。また、発光層に用いられているInGaNはNTTの松岡隆志(現・東北大学教授)などによって実現されており、それらの技術を使って製品化したのが日亜化学工業になる。(wikipedia「発光ダイオード」の項より)

【化学賞】
飯島澄男(1939- カーボンナノチューブの発見と電子顕微鏡による構造決定)
電気通信大学通信科→東北大学大学院物理研究科→アリゾナ州立大学→48歳でNEC特別主席研究員
電子顕微鏡の威力を生かしてカーボンナノチューブを発見し、その構造を解明した功績が大。
カーボンナノチューブの大量生産方式を開発した遠藤守信(1946- 信州大学工学部教授)とセットで受賞することが予想されている。

新海征治(1944- 分子認識メカニズムの解明と、それらの知見を応用した分子機械システムの構築)
九州大学工学部教授→九州先端科学技術研究所
1979年にクラウンエーテルとアゾベンゼンを組み合わせて分子機械を合成、同定。その後も、分子認識、有機ゲル、無機物質への構造転写などの研究で世界をリード

北川進(1951- 多孔性金属-有機骨格の合成法および機能化学の開拓、およびその水素とメタンなどの気体の貯蔵、精製、分離などへの応用)
京都大学大学院工学研究科石油化学専攻→近畿大学理工学部助教授→東京都立大学理学部教授→京都大学物質-細胞統合システム拠点 副拠点長
活性炭やゼオライトなどで知られる細孔物質は分子の吸着力があり、細孔の形態や大きさなどの特徴に応じて、石油工業の分離材料、水道水の浄化や脱臭剤等に使用されている。
北川研究室はナノサイズの細孔を有する物質に着目して、その細孔の形態や大きさを制御する方法を確立し、化学的に合成した様々な細孔物質により外界環境に応じた多様な機能性材料の創出を推進している。


やはり、ナノ、バイオが目立つような。
そろそろくたびれてきたので、このくらいで打ち止めとします。あの人もこの人も、というご意見はコメントでお願いします。やはり現時点では、受賞してもおかしくない研究者が国内に20人はいるようですね。

p.s.小川誠二氏が2009年のトムソン・ロイター引用栄誉賞を受賞したので、リストに追加しました。(2009/9/26)
  北川進氏が2010年のトムソン・ロイター引用栄誉賞を受賞したので、リストに追加しました。(2010/9/23)

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この記事へのコメント

トライボロジスト
2012年12月13日 22:28
 島根県安来市に巨大な工場を構える日立金属が開発した新型冷間工具鋼 SLD-MAGIC(S-MAGIC)は微量な有機物の表面吸着により、金属では不可能といわれていた自己潤滑性能を実現した。この有機物の種類は広範囲で生物系から鉱物油に至る広い範囲で駆動するトライボケミカル反応を誘導する合金設計となっている。潤滑機械の設計思想を根本から変える革命的先端材料いうものもある。
 このトライボケミカル反応にもノーベル物理学賞で有名になったグラフェン構造になるようになる機構らしいが応用化の速度にはインパクトがある。
分子動力学屋
2013年04月22日 20:25
  一般に金型機械加工してるところは、工具鋼の一種SKD11が難削材なので、これに切削条件を合わしている。しかし、こんなところに朗報があった。このまえ、日刊工業新聞社の「プレス技術」に紹介されていた、SLD-MAGIC(S-MAGIC)という材料、SKD11の4~10倍被削性(工具費ならコストが約1/4~1/10になる)がよいので、工場全体の生産性がこれに比例して向上する。また、これで作った金型は自己潤滑性が高く、使う方の生産性もアップする。使う方作るほう両方で、生産性が上がるという、奇跡の高性能金属材料だ。
エンジニア
2013年05月27日 09:55
先日、その工具鋼の自己潤滑性とかいう話を日本トライボロジー学会で聞いたが、モリブデンとかカーボン、それにDLCコーティングなどの怪しげな論説とも整合し、油中添加剤の極圧効果にも拡張できる話は面白かった。まあ世界初のナノマシンなるものが表面にできるといえばいいんじゃないのかな。
円安来りて笛を吹く
2013年06月20日 20:10
 もはや、巨大とナノの両者を扱える先端企業はここしかなくなったか?
フリクションインパクト
2013年06月21日 20:39
 そうだったのか。この工具鋼はハイテン用の金型に使われ耐かじり性で数々の実績を積んできたようだが、このようなナノメカニズムでその性能が発揮されていたんですね。これからは業界を超えて広がる材料になるのかなと思います。
マルチスケール
2015年06月03日 20:47
 日立金属製のSLD-MAGIC、アルミ鍛造なんかの金型に使われているらしいのですが、その特徴は油と反応して自己潤滑性を出すこと。しかし素材として板材が流通していないので、私が考えている部品開発には応用が出来ないのが残念だ。
環境エコウォッチャー
2015年06月22日 11:07
 そのメカニズムはCCSCモデル(炭素結晶の競合モデル)といって、すべりの良さばかりでなく、摩擦試験データのバラツキが信頼性工学で言うバスタブ曲線になることや、極圧添加剤の挙動、ギ酸による摩擦特性の劣化挙動など色々と説明ができそうなトライボロジー理論らしいですね。トライボロジー関連の機械の損傷の防止、しゅう動面圧の向上設計を通じた摩擦損失の低減、新規潤滑油の開発など様々な技術的展開が広がっていきそうですね。
マルテンサイトマン
2015年07月03日 19:00
 ドイツ以上にハガネ(鋼)の伝統がある日本人の刀剣などの価値は
ものすごいものがありますね。
金属マニア
2015年10月19日 19:13
 ひょっとして久保田邦親博士の発明ですか?素晴らしいです。
機械の進化のストラテジー
2015年11月06日 18:17
 自動車分野のパワートレインの技術者たちが騒ぎ始めているようです。
某学生
2015年12月19日 18:54
島根大学で学位をとられた方ですね。なんだか複雑な合金設計を行った後、セレンディピティにより見出された現象なんでしょ?
未来への展望
2016年02月04日 21:42
 やはり精密化した理論の奥に新発見があって、それを更に理論化する。
これは後世に語り継ぎたい話ですね。
グラファイト層間化合物の研究者
2016年02月11日 07:52
 ピストンピンに向いているようですね。
機械設計屋
2016年03月07日 18:08
 なんと長年探していた、転位論と破壊力学を融合させた、鉄鋼材料の疲労強度に関する最適かたさの算出式も載っていますね。これはためになった。
CCSCモデルファン
2016年12月19日 00:48
 色々部品があるが金属や鉄鋼材料同士が油を介して摩擦し合うのが、いまも昔も機械の実態。こういった技術をトライボロジーというのだが、そのなかでも境界潤滑技術というのが理論は確立せず摩擦損失の主な元凶であるにもかかわらず、研究者も少なく、理論がないため色々な材料同士を実験的に摩擦させるだけ。しかも実機試験とラボ実験の乖離などもあり、無用の長物扱いをされかねない中途半端な技術分野ともみられていた。
 材料技術が無いとティアワンの資格がないというが、その材料技術とはという問いを抱いて、玉ねぎの皮むきのようなことを何層にもわたり中心部分にはトライボロジーという、無気力な技術者がいるというのが実態だ。
 この形勢一変する、島根大学客員教授の久保田博士らが
提出した炭素結晶の競合モデルというのはこの事態を一変させるもので、「半世紀に渡りトライボロジストが見続けていた夢」とまで評されている。今後の活躍が大いに期待される。
通りすがり
2017年07月02日 16:23
工具鋼の合金設計ってそんなに凄いんですか?
パラダイムシフト
2017年07月19日 17:12
 機械工学の本質とはなにか?それは統合力であると思う。細かなことを知らなくても何がボトルネックかということを自覚し、時にはチャレンジすることだ。そのキモとなるパラメータの限界はおおむね材料の耐久性にあったりする。
 この材料は一つの大きな可能性を示している。機械をなぜ小さくできないのかという原理を明確化した。原因が分かればここに勢力を投入しさらなる高みを求められる。地球環境に対する真水の直球勝負がこれから始まる。
とおりすがり
2017年08月17日 19:50
 金型寿命向上に抜群の効果がありますね。
GIC結晶(八雲軸受)
2017年12月04日 21:47
 さすが古事記神話に精通されたかただ。
姫路特殊鋼
2018年02月17日 19:32
 博士はダイセルの首席技師に移籍されたようです。トライボシステムの開発を
期待しています。
ラマン分光ファン
2018年03月31日 10:50
 なにか、ガンダムファンでも話題になっているようだ。

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