サブカル天国は世界を救う?

マンガオタクで有名な麻生総理の首がそろそろ危ない。
それとともに、アニメやマンガやゲームこそが日本を代表するポップカルチャーとして世界に広まっているということについても、そろそろ再考が必要になってきたように思う。
もう2年以上経つが、2006年7月4日の朝日新聞にこんな記事が載っていた。
仏2少女、マンガの国あこがれ日本向け家出 警察に保護
「日本の漫画やロックに魅せられたパリ郊外に住む16歳の少女2人があこがれの日本を目指して家出。鉄道を乗り継ぎポーランドにたどり着いたところで警察に保護された。陸路ロシアを横断し、船で日本に渡る計画を立てていたが、経由国でビザ(査証)が必要だとは知らなかったという。
6月22日にわずかな現金と携帯電話、携帯オーディオプレーヤー、漫画本を持って出発。ベルギー、ドイツを経由し、25日にポーランドからビザ無しでベラルーシに出国しようとしたところで国境警察に拘束されたという。 」

フランスのジャパン・エキスポは毎年数万人の人出で大変な人気らしいが、そこで見るのは日本でも見慣れた光景だ。アニヲタのコスプレイヤー達。年齢は12~25才。フランスでは80年代にテレビでグレンダイザーやキャンディ・キャンディを放映し始め、爆発的な人気になった。私も1991年にパリのホテルでフランス語に吹き替えられたグレンダイザーとキャッツアイをテレビで見たことがある。ほかに国産アニメやアメコミをやっているかと思うと、そうではなくて、やっているのはほとんど日本アニメだけなのだ。

アニメとマンガはどうして世界中を席巻できたのだろうか?
その理由のひとつはアニメやマンガがスキマカルチャーであることに関係がある。

ありていにいって、第二次大戦以降の世界中を席巻しているのは日本文化ではなく、アメリカ文化である。
ハリウッドであり、マクドナルドであり、コカコーラであり、コンビニとスーパーマーケットであり、アメリカンライフスタイルである。
そのアメリカ文化が伝統的に軽視してきた市場が、ヤングアダルトであり、その事情はヨーロッパでも同じだった。

アメリカ人は早く大人になりたがる。大人は個人として自立し、自由に行動できるが、子供はそうではない。子供時代は親の言うことを聞かなければならない屈辱的な時期になっていて、アメリカ人はいつまでも子供でいたいとは思えないようにプログラムされているとも言える。

それに対して、日本はそうではない。日本人が大人になるのは社会に出てからであり、それまでのモラトリアム期間は、極力大人になるまいとするバイアスが働いている。
子供は子供らしく気ままに振舞うことが、どんな社会よりも許容されており、甘やかされている。その甘やかされた天国にいつまでも逃避していたいという気持ちが、日本国内にサブカルの巨大市場を作っている。
その巨大市場で揉まれて育った最強のコンテンツがアニメであり、マンガであり、ゲームだった。
質、量ともに、アメリカやヨーロッパの同じジャンルは、日本の敵ではなかったのだ。

しかし、こうした出自から来る日本のポップカルチャーに共通する傾向として、「現実逃避」が抜きがたく存在する。また、フランスではアニヲタを「大人になることを拒絶する世代」として報じている通り、大人の作ってきた「ハイカルチャー」を拒絶する傾向もあるのだ。
実際、輸出されたアニヲタは、日本のアニヲタの負の側面をそのままひきずっている。
日本のサブカルの影響を受けた外国の若者達はどうなったか?

以下いずれもブログ「誤訳御免!」から引用。元ネタはHas anime changed your life?である。

昔の私は、たくさん外出して生き生きとしていた。
でも今は毎日、家で座ってアニメを一日中観てる。
アニメって凄く中毒性があるのよね。(16歳 女性)

アニメは俺をさらに反社会的な人間にしてくれたよ。
ありがとう、アニメ。(カナダ 16歳 男性)

俺を含むここの多くの人間が引きこもり[hikikomoris]に。
(例外もいるけどね。羨ましい。lol)
だから、答えはイエスだ。
アニメと日本文化は俺たちの人生を大きく変えたよ。(フロリダ 20歳 男性)

うーん・・・・・・私は12歳までずっと本の虫だった。
本ばかり読んでいて、内気で、友達も3人だけ。
でも中学に入ったらインターネットに興味を持つようになり
直ぐにNARUTOを見つけたの。
初心者には必ずしもベストチョイスではなかったかもしれないけど、
私はNARUTOにはまって、半年で120話以上を観たわ。
すると、学校でナルトTシャツを着てる人がいるのに気付いたの。
私たちは話をするようになってお互いの友人を紹介しあったわ。
その新しい友人がまた新たな友人を紹介してくれた。
今はもう、あまり内気ではなくなって、たくさんの友達がいると
自信を持って言えるわ。(アリゾナ 15歳 女性)

一つのアニメが俺の人生を変えた。もっと厳密に言うと、
今後1-2ヶ月で俺の人生を変えて行く。
のだめカンタービレを観た後に、俺はピアノにベタ惚れ。
早速、俺が通う短期大学でピアノ初心者クラスに登録したって訳さ。
デジタルピアノを購入して今度こそ真剣に音楽にトライしようと思う。
オゥ、それで一つの目標を設定してみたよ。
千秋がマエストロ・シュトレーズマンと共演したコンサートで弾いた曲だ。
そこへ辿り着く日が待ちきれない!(カリフォルニア 20歳 男性)

俺にはちゃんとした仕事があって、恋人がいて、綺麗なアパートも
あったんだ。アニメを観始める前まではね。
今は、仕事も恋人も無くし、PC環境しかないチープな部屋に住んでる。
要約すると、確かにアニメは俺の人生を変えた。(シンガポール 19歳 男性)

もし、アニメというものが存在しなければ、
俺がロリコンになることもなったかろう・・・(ニューヨーク 20歳 男性)

アニメは私の創造性は高めたけど、社交性は低下させたわ。
金曜の夜にみんなと外へ出かけなくなった。それよりも、家にいて
アニメを観ていたいから。時間も無駄にしてるわね。何か生産的な
ことをするよりも、下らない同人を読んでしまうから。
本当に最悪なことは、こんなこと止めなきゃと分ってるのに、
どうしても止められないことね。(ポーランド 16歳 女性)

私は変わったわ。
アニメを観るまでは、友達が1人もいなかったもの。xD(スウェーデン 15歳 女性)

これを見ると、活動的だった人はアニヲタになって社交性を低下させたが、引きこもりで孤独だった人はアニメを観たのを期に人と共通の話題ができるようになったということが伺える。
ゲームについても、同じような効果があるのだろう。
それは、現実逃避のカウンターカルチャーとして、大人になりきれないひ弱な若者達に独自の足場を与えている。
その意味では、若者の失業率が高いフランスでアニメが一番人気があるということの持つ意味は小さくない。

さて、当初設定した設問に答えるべき時がきたようだ。
サブカル天国ニッポンは世界を救えるのか?

「救う」などというおこがましいことは到底できない。ただ、一部コミュニケーション能力に問題があり、孤立しがちな若者にとっては、オタク帝国ニッポンのサブカルは人と共通にできる話題の宝庫であり、癒しの園である。
ところが、多くの健全な若者にとっては、うっかりはまると抜けられない、中毒性のある現実逃避のツールである。
それは決して手放しにクールとはいえない。

サブカルだけで完結した社会などありえない。現実やハイカルチャーと一体になって初めて、総合的に世界を捉えることができるものになる。そのことを忘れていたずらにサブカルを称揚すると、あとで必ず痛い目を見ることになる。

そうでしょ、麻生さん?

画像

有名なコスプレイヤーのヘザちゃん

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