亀を放す

画像

小2になった息子と、1年以上飼っていた亀を川に放しに行った。
甲羅の長さが15cmほどある、中型のミドリガメ。
小学校の近くの、川のそばの側溝から顔を出しているところを、通りかかった妻に見つかって連れて来られたのだった。それから1年、我が家の水槽に囚われの身になっていた。
水槽の中に砂利を敷いて、浅く水を張ってときどきエサをあげていた。
中に大きめの石を置いておいたら、そこを足場にしてたびたび脱走した。
朝、見に行くといないので、探すと隣の庭でごそごそ動いていたり、うちの庭の倉庫とフェンスの間に挟まってじたばたしたりしていた。
水槽を洗うときも外に出すと、すきをうかがってこしょこしょ逃げ出そうとするのだ。逃げる時のスピードはかなり早い。
亀はおそいという先入観があるので、その動きのすばやさに驚いた。そして足場になる石は取り出してしまった。
画像

去年のゴールデンウィークにザリガニを山ほど釣ってきて、亀と同じ水槽に入れたことがある。
ザリガニを釣ったことのある人はよくご存じの通り、ザリガニは本当に動きが速い。特に水の中で後退するときは、ヒュンという感じで視界から消える。
ところが亀はそのザリガニを夜の間に捕まえて、毎日減らしていって、最後にはほとんど食べ尽くしてしまった。
観察していると、亀はザリガニににじり寄っていき、ザリガニがヒュンと逃げてもまたじりじり近づいていき、しまいにコーナーに追い詰めて、最後に自分でガバッと動いて捕まえているようだった。ようだったというのは、追い詰めるところまでしか見れていないからで、最後に捕まえるところを、私達が見ている間は実演してくれなかった。しかし翌朝になると、ザリガニが減っていて、ときにはザリガニの甲羅とハサミだけが残っていたりするのだ。

最後まで残ったザリガニは、とってきたときから子供に「ボス」と呼ばれていた大型のザリガニで、固そうな甲羅を備えていて、亀が近寄ってくるといつも両方のハサミを大きく広げて威嚇していた。それで最後まで生き残って、結局元住んでいた川に返された。

その後、ミドリガメの同居人はしばらくいなかったが、去年の夏、突然一回り大きなクサガメがやってきた。
妻と子供が帰りがけに川のそばで見つけてひろってきたのだ。
亀を一年に二度もひろうとは、なんというのどかな環境だろう。
しかし、自分よりも大きいそのクサガメを土台にして、ミドリガメはまたも脱走した。
脱走犯はまたも捕まって、我が家の水槽に帰還したが、石と同じようにクサガメを出してしまうこともできないので、ミドリガメがクサガメを土台にして再度脱走することは誰でも予想できた。
しかも、このクサガメは、名前の通りとても臭かった。
水槽を洗っても悪臭が全然とれない。
しかたなく、クサガメはひと月ほどで元いた川の土手に放された。
こうしてまた、ミドリガメは一人になった。

冬が近くなると、動きがのろくなってきて、冬眠状態に近くなってからは、あまりエサを食べなかった。
餓死するかと思ったが全然平気で、春になり暖かくなってから水槽を洗っていると、またぞろ脱走の気配があった。
かわいそうになったので、息子を説得して、亀を放すことにしたのだ。

ミドリガメの正式名称はミシシッピアカミミガメ。どうりでアメリカザリガニを捕まえるのが得意なわけだ。どちらも今日では野生化した代表的な外来生物である。
妻からは「外来種だから放さないほうがいいんじゃない?」と言われたが、今では日本中にミドリガメは生息していて、クサガメよりも多いくらいだ。だから放しても生態系は破壊しない、と結論を出した。

亀を無造作につかまえて、自転車のかごに入れ、川まで息子と一緒に運んでいった。
亀は何が起こっているのかわからない様子だった。
川に着いて、土手を降りていき、岸辺から亀を川に放した。
亀が喜んで泳いでいく光景をイメージしていたが、亀はそのまま川底まで沈んでいった。
沈んでから、手足を出して、少しずつ水面に近づいてきて、鼻先を出して息をした。
突然与えられた自由に、戸惑っているようだった。
近くを悠然と巨大な鯉が泳いでいた。
この川には亀がたくさん棲んでいるから、ミドリガメにとっては適応しやすい環境のはずだ。
水槽の中でエサを与えられているよりは、過酷な環境かもしれないが、ようやく外に出ることができたのだ。

橋の上から見たミドリガメは、相変わらず鼻先を水面に出したまま動かなかった。
「カメはこれで自由だね」と息子が言うので、見ると息子がニッと笑った。
「家まで競争だ」と自転車をカシャカシャこいで、家に帰った。
息子はミドリガメのことを忘れないだろう。
そして、自由であることのつらさと楽しさを、やがては理解する日が来るのだろうと、
珍しく父親らしく、そんなことを思った。



よろしければこちらもどうぞ。
小一の息子と刺青のお友達

この記事へのコメント

2016年10月11日 13:02
昔の記事に言うのもなんどが、
>>妻からは「外来種だから放さないほうがいいんじゃない?」と言われたが、今では日本中にミドリガメは生息していて、クサガメよりも多いくらいだ。だから放しても生態系は破壊しない、と結論を出した。

これ本気で言ってるんですか?
大人としてもう少し考えたほうがいいですよ
何であれペットは最後まで責任を持って飼わなければいけません
逃すのは無責任です。特に外来種ですから。たくさんいるから良いって問題じゃありません。たくさんいて問題になってるから駄目なんですよ。場所によっては駆除もしていることぐらいは大人なら知ってますよね?
お願いですから外来種を野に放すのはやめて下さい
 
2018年09月14日 19:31
こいつは自己中だってハッキリわかんだね

この記事へのトラックバック

  • レイバン メガネ

    Excerpt: 亀を放す 地球大に考える/ウェブリブログ Weblog: レイバン メガネ racked: 2013-07-06 02:53
  • エアマックス 95

    Excerpt: 亀を放す 地球大に考える/ウェブリブログ Weblog: エアマックス 95 racked: 2013-07-09 12:43
  • プラダ トート

    Excerpt: 亀を放す 地球大に考える/ウェブリブログ Weblog: プラダ トート racked: 2013-07-09 19:28