マンション管理組合と利権

マンションはもともと、隣近所との人づき合いが苦手な人が好んで入居するところと言われていた。
実際その傾向はあり、エレベータで顔を合わせても挨拶ひとつしない人も、マンションによっては多く存在する。
ところが、分譲マンションは区分所有という複雑な権利形態をとっていて、何か問題が持ち上がると、隣近所やマンション全体との関わりが深く生じてくる度合は、実は一戸建ての比ではない。
だからそれらの問題をあらかじめ調停する機関として、管理組合の設立が「建物の区分所有等に関する法律」(区分所有法)で義務づけられている。

ところが、組織と予算が生じるところには、必ず政治があり、政治があれば当然に利権も腐敗も生じる。
管理組合は建物と設備の維持保全を主たる目的としているので、大規模修繕のために億単位の積立金を保有していて、管理組合には、その保管責任と工事の発注権限がある。
最近、マンションの管理会社による横領事件が多く報道された。その結果、国土交通省は、5月1日付でマンション管理適正化法の施行規則を改正し、管理会社への規制をさらに強化した。

それはそれで間違いではないのだが、問題は同じように多くの横領事件が、管理組合の内部で起こっているということであり、それは今回の規制強化の適用範囲外だということである。

マンション管理組合積立金横領:被告、起訴内容認める--初公判 /静岡 
マンション管理組合の会計理事の立場を利用し、修繕積立金などを着服したとして業務上横領罪に問われた、三島市東本町1、無職、仁平(にへい)正二被告(47)の初公判が20日、地裁沼津支部(岡田龍太郎裁判官)であった。仁平被告は起訴内容を認めた。
 起訴内容では、昨年2~4月と9月、マンションの管理組合の理事長名義の預金口座から計2190万円を引き出し、横領したとしている。検察は初公判での冒頭陳述で、横領総額は1億3690万円に上ると指摘した。(毎日新聞 2009/5/21)

マンション管理費など横領で逮捕(北海道)
札幌市中央区のマンションで入居者が支払った管理費や修繕積立金などを横領したとして元管理組合理事長の男が逮捕されました。
逮捕されたのは渡邉芳晴容疑者(62)です。渡邉容疑者は2000年から4年間、札幌市中央区にあるマンションの管理組合理事長をしていて、住民が支払った管理費など46万円を横領した疑いです。マンションでは正面入口と駐車場の耐雪工事を行いましたが、業者から督促状が届き、マンションの住民が通帳を調べたところ、3000万円あるはずが残りがほとんどないことから明らかになりました。
渡邉容疑者は逃走していましたが、きのう、埼玉県内で万引きをして逮捕されました。警察で渡邉容疑者から詳しい事情を聞いています。(日テレNEWS 2009/5/27)

もっとも、横領は管理組合の腐敗の最たるものでしかない。
一番ありがちなのは、大規模修繕が近くなると、突然理事に立候補して業者決定に関与しようとする例だ。目的はもちろん発注利権である。

私の知っているマンションには、10億円近い積立金があるが、そこの理事長が密室で管理会社の変更を決め、総会に議案を上程した。寝耳に水の居住者は騒然となっているが、理事長は強行突破する姿勢だ。なぜそこまでするのか不明な点は多いが、工事の発注権限と関係があると見る向きは多い。

理事会などの狭い範囲で実績を積み重ね、独裁体制を築いても、管理組合の総会という広い場面に出れば、決定に至る経緯の不自然さが明瞭になってしまう。そこまでして、いったい何を得たいのかという疑惑が湧いてきて当然だ。
どのように隠密裏に物事を進めようとしても、悪事はやはり露見する。どのような権力も必ず腐敗するのだから、理事長独裁を長期化することは、マンション管理組合はどうしても避けなければならない。不況に突入したからこそ、管理会社の監視だけでなく、理事会の監視も必要となる時代なのだ。

画像
(写真は記事と関係ありません)

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