講談社はもうダメなのか?

講談社は非上場ではあるが、経営数値がある程度わかっている。
2008年11月決算は76億円の赤字だった。2009年11月決算は、同社の森武文常務によると、 「売上高は前年に比べ1割減、利益面も前期を超える赤字」 だという(業界紙「新文化」より)。
また漫画家の佐藤秀峰氏が、自身の公式HPでこのように書いている。
「昨年、数十億円の赤字を出したある大手出版社は、漫画や活字、ファッション誌などを合わせて70誌程の雑誌を出しておりますが、その内、60誌以上の雑誌が赤字です。
皆さんも名前を聞けばよくご存知のメジャーな雑誌が、年間10億とか15億の赤字を出しています。
書籍を見ると、全書籍の売り上げのトップ10は、すべて漫画の単行本が占めており、今年はそのトップ10内に入っていた漫画作品のうち、3つが連載終了となっています。
そして、それに替わるヒット作は出ていません。
恐らく今年は100億以上の赤字を出すだろうと、業界内ではもっぱらの噂です。 」
これはどう考えても講談社のことだろう。
子会社の光文社も50億の赤字だというし、音羽グループは非常に厳しい。
グラフはGarbagenews.comより。

画像

なぜこんなことになってしまったのだろうか。
業界情報に詳しいサイゾーは次のように書いている。(2010/1/6)

“「講談社は昨年の第70期決算で大赤字を出しました。雑誌の部数は下げ止まらず、広告収入は激減、コミックス売上やキャラクター関連の著作権ビジネスも低調だったためです。それ以降も経営改善策を打ち出せず、状況は悪化する一方。信頼できる情報筋からも『いよいよ講談社がヤバイ』との声が聞こえてきています。今年の決算の結果次第で、早期退職者の募集やリストラの断行も起こり得る状況だと聞いています」(出版関係者)
 講談社は昨年2月、2007年12月‐08年11月期決算で当期純損失が約78億円となり、過去最大の赤字幅になったと発表した。月刊『創』(創出版)の編集長・篠田博之氏によれば、講談社の看板雑誌「週刊現代」だけで年間20億円もの赤字を出しているといわれ、5億円の赤字を出していたという『月刊現代』は09年1月号を最後に休刊となった。(中略)
 問題は売上や広告収入の減少だけでなく、会社が大赤字になっても社員の給与が高値で安定していることも大きい。かつて、ニュースサイト『My News Japan』の編集長・渡邉正裕氏が同サイトで、講談社の入社5年目27歳の社員が年収1200万円というテレビ局並みの高給であることや、ほぼ全ての講談社の編集部で入社2年目にして年収1000万円を超えることを暴露し、出版界で大きな話題となった。”

月刊現代の休刊は残念だったが、赤字である以上どうしようもない。ただ、他に赤字を垂れ流している雑誌が多数存在するのなら、少しでも早い時期に大幅な見直しが必要だった。ところが、昨年の大赤字を受けて、今年見直しをしたという形跡があまり見えてこない。

講談社の良さは、会社としての社論が文藝春秋や朝日新聞ほど明確ではないせいで、編集者個々がやりたいことをいろんな媒体を通して表現していくことができていたことにあるのではないかと思っていた。
しかし、私が若い頃から、すでに自分が著者や読者よりエライかのように勘違いしている社員もいたように思う。
出版記念パーティーの二次会のカラオケで、漫画家を差し置いて編集者達が勝手に盛り上がり、他社の編集者があれこれ気を使って漫画家を盛り上げているのと好対照だったというような話。
講談社の編集者が、漫画家の書いたネームを勝手に直しているという話。
講談社の雑誌編集者は、1980年代の前半すでに、「出入りするモデルの卵とやりたい放題」みたいなことを平然と口走っていたという話。
一言でいえば、慢心していたのである。
それがインターネットと携帯の登場により惹き起こされた出版不況に対応しきれない素地をつくった。

下請やフリーの記者をいじめるだけではもうダメだ。
社員の給与や雇用に手を付けないと、どうしようもない。
廃刊すべき雑誌もたくさんあるはずだ。
もう待ったなしだ。
社員は「倒産のXデーまであと3年」とか言っているとも聞くが、そんなことを言って手をこまねいていると、あと1年で会社はなくなる。そのことを肝に銘じる必要があると思う。


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この記事へのコメント

たしかに。
2011年01月17日 10:35
小学館の友達がおりますが、高給とりな上に、日常のごはんも領収書。
ラーメンでさえも領収書(笑
30歳くらいで月収基本給だけで40万、ボーナスは・・・でしたからね。

ちょっと給料が下がっても、周りより段違いに給料がよいのに、不平不満(^^;

慢心、かどうかはわかりませんが、世の中知らず、なところがあるみたいなので、
こういう厳しい経験をして、あるべき姿をみるいい機会なんじゃないでしょうか。

と思います。
withmysoul
2011年01月18日 13:02
出版界では、マンガを初めとして雑誌の販売部数は落ちる一方。
小学館は教育関係や辞典類を抱えているので、まだ手堅いほうだと思いますが。
本もアメリカ並みに高くなってきて、買う人は減ってきてますね。
BOOK OFFのような新古書店の影響も大きいです。

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