葬儀屋になった農協~人口減少と高齢化~

去年、父と母を立て続けに亡くし、田舎の葬儀を二度体験した。
ご他聞にもれず、私の故郷も過疎化と高齢化が進んでいる。その影響がこんな風に出るのか、と驚いた点を二つ。

私の実家が檀家になっているお寺は、住職がいなくなってからもう数年が経っている。
だから、葬儀にも新盆にも、そのお寺を掛け持ちしている数キロ離れた隣村の住職が来てくれた。
ただ、掛け持ちなので、自分本来の檀家が優先される。我が家の新盆行事は8月13日が指定日だった。

父と母が続けて亡くなったので、「一周忌を二人まとめてやってはいかがでしょうか」というご提案もいただいた。
遠方から一家そろっての帰郷を繰り返すのもなかなか大変なので、ありがたいご提案ではあったが、私共のためというよりも、住職が掛け持ちで時間がとれないからなのではないかと、秘かに思いもした。

隣村の住職が言うには、お寺の後継者が見つからず住職のいない寺は、私の田舎だけでなく、あちこちにあるそうだ。
そのせいで、仏像の窃盗団が日本中に横行するようになったのだ。…

もうひとつ驚いたのは、農協の選果場だった広大な敷地に、新しい葬儀場ができていたことだった。
むかしこの選果場では、出荷を控えた果物を選抜して箱詰めする作業を、たくさんの人がラインをつくって行っていた。
まだ農協が信じられていた時代の話だ。

いまではみんな、果物を農協や市場に出荷するよりも、産地直送でお客さんをつかむほうがずっと割がいいことを知ってしまった。農協に通してマージンを払う人はほとんどいない。それであちこちの選果場が統合されて、残った広大な敷地はどこも例外なく、葬儀場になっている。

農協は貯金を集め、保険を勧め、葬儀をとりしきる。ときどき農薬や農機具を売る。そんな組織になった。
だからもう、TPP反対とか、大上段に振りかぶって政策を論じるのはやめたほうがいい。
偉そうなことを言っても、本当は自分達の雇用の確保のほうが大事なのだ。
無用な規制をつくればつくるほど、ひよわな市場ができあがる。
守られた産業には、甘えたい人が集まるだけなのだから。

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