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1990年代という転換期~「幸せ」の戦後史(菊地史彦)~

1989年11月、ベルリンの壁が崩壊。 1995年1月、阪神大震災。 1995年3月、地下鉄サリン事件。 1997年11月、北海道拓殖銀行、山一證券破綻。 『「幸せ」の戦後史』著者の菊地史彦さんは、1989年に37歳で筑摩書房を辞めた。辞めていなければ、将来は社長というのが衆目の一致するところだったが、菊地さん曰く「あとはイバラ…
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魔女狩りと精神医学とブッシュマン~名著再読・中井久夫

中井久夫氏は私が勝手に師と仰いでいる人の一人だ。 最初の衝撃は『現代精神医学大系 第1巻』(1979 中山書店)中の論文として執筆された「西欧精神医学背景史」だった。 当時私は大学生で、柄谷行人の「形式化の諸問題」を読み、そこに書かれていたグレゴリー・ベイトソンの分裂病(今で言う「統合失調症」)の病因論「ダブル・バインドセオリー」に…
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伝説の作家 山尾悠子の新作

山尾悠子さんの最新作『歪み真珠』を手に入れた。 この人の小説を最初に読んだのは、たしか、雑誌「奇想天外」の最終号(1981年10月号)に載っていた、 「私はその男にハンザ街で出会った」だと思う。 「奇想天外」は安っぽいざらついた紙に印刷され、表紙に「ああ、奇想天外!?」などという特集号のタイトルが入っていて、いかにももうお終いとい…
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講談社はもうダメなのか?

講談社は非上場ではあるが、経営数値がある程度わかっている。 2008年11月決算は76億円の赤字だった。2009年11月決算は、同社の森武文常務によると、 「売上高は前年に比べ1割減、利益面も前期を超える赤字」 だという(業界紙「新文化」より)。 また漫画家の佐藤秀峰氏が、自身の公式HPでこのように書いている。 「昨年、数十億円の…
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国号ヤマトの勧め

内田樹氏の『日本辺境論』を読む。 発言に既視感があり、評判ほどの面白さを感じられなかったが、それでもときどき思いがけないことが書かれている。 “「日本」というのは「中国から見て東にある国」ということです。それはベトナムが「越南」と称したのと同じロジックによるものです。もしアメリカ合衆国が「メキシコ北」とか「カナダ南」という国名を称し…
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村上春樹『1Q84』~宙吊りになった都市伝説~

1984年といえば、ジョージ・オーウェルが全体主義社会の到来を予言した書の題名だし、オウム真理教が活動を開始した年でもある。村上春樹が最近口にするデタッチメントからコミットメントへ、という方向性が現れた小説になっているという噂もあって、関心を持ってじっくり読んでみた。 しかし、結論から言えば、この小説はどのような現実とも切り結んでいる…
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『奇跡のリンゴ』 木村秋則さんの物語

リンゴの無農薬栽培を成し遂げた木村秋則さんの物語『奇跡のリンゴ』を読む。 驚くべき半生。 私はリンゴ園で育った。木村さんが無農薬栽培に切り替えて、失敗を重ね、極貧生活にあえいでいたとき、私は高く売れるリンゴのおかげで大学に通うことができた。 それを思うと、あの1980年前後に、花の咲かないリンゴの樹を800本も抱えて、3人の娘が1…
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漱石・鴎外はヘタな小説家にて候故、…

小谷野敦『「こころ」は本当に名作か』(新潮新書)を読む。 永年思っていて、血気盛んな頃よく自分で口走っていたことがそのまま書かれていて、とても腑に落ちた。 学生の頃、「大作家の本は処女作から順に読むべきだ」という、今思えばいささか滑稽なアドバイスにしたがって、漱石を「猫」から「明暗」まで読み通した。途中、「虞美人草」は飛ばしたものの…
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サブプライムを上回る危機~商業用不動産ローン問題

アメリカのサブプライムローンの破綻により、世界の金融機関が被る損害の予想額は、約百三十兆円と言われている(神谷秀樹『強欲資本主義 ウォール街の自爆』文春新書による)。 世界恐慌のおそれも言われている割には、この金額は必ずしも多くはない。日本の不動産バブルの清算に要した費用が、この十数年で約百兆円だから、その1.3倍だ。しかし、…
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近未来の予言~ジャック・アタリ『21世紀の歴史』~

ジャック・アタリは『カニバリスムの秩序』(みすず書房)などにより、フランス現代思想の一翼を担うとともに、社会党政権時代のミッテラン大統領のブレーンであった、フランスを代表する知性の一人だ。その人が2006年に書いたUne brève histoire de l'avenir(未来小史)の邦訳。 読んでみて知ったが…
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中国のオリンピックに寄せて

1年前に出た『街場の中国論』(内田樹 ミシマ社)と、『漢文の素養』(加藤徹 光文社新書)を並べて読んでみた。 「中国」という話題は、どのように話しても日中双方の国からの偏狭なナショナリズムの攻撃に遭いやすく、バランスのとれた独自の立場を構築することがむずかしい。その中で、この二人は「嫌中-媚中」の両極端に組しないサイレントマジョリティ…
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中沢新一とオウム真理教~80年代をめぐって~ (3)

このことを考えていてどうしても想起せざるをえないのは、ミステリー作家の笠井潔その人だ。全共闘運動も終わりを告げる頃に新左翼の最終ランナーとして登場し、「地球と人類の物理的変革」をめざしたこの孤高の革命家は、連合赤軍事件についての徹底的な思索を通じて、自らの中に巣食っていた過剰な観念を解体しつくした。 その解体と再生の過程は、彼のデ…
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48歳への抵抗?

昔、『四十八歳の抵抗』という石川達三の小説を、冒頭だけ読んだことがある。 「やがて停年がやってくる。その時期は、もう眼のまえに見えている。恐らくは退職の日まで、現在の生活がこのまま続いて行くに違いない。なにか新しい、別の人生はないものだろうか。もっと強烈な、もっと危険な、もっと生き甲斐のある人生はないものだろうか。」 これは、僕…
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