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zoom RSS この宇宙での孤独と、意識の海について

<<   作成日時 : 2014/08/10 05:10   >>

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夜が深くなってゆく。
外は細かな雨に降りこめられている。
静かだ。
この世界に私一人で対峙していると、いくつかの感慨に浸りたくなる。
そしてまたいくつかの勘違いに、溺れそうになる。

パスカルは言う。
「私は、私を閉じ込めている宇宙の恐ろしい空間を見る。そして自分がこの広大な広がりの中の一隅につながれているのを見るが、なぜほかの処ではなく、この処に置かれているか、また私が生きるべき与えられたこのわずかな時が、なぜ私よりも前にあった永遠と私よりも後に来る永遠の中のほかの点でもなく、この点に割り当てられたのであるかということを知らない。私はあらゆる方面に無限しか見ない。…私の知っていることのすべては、私がやがて死ななければならないということであり、しかもこのどうしても避けることのできない死こそ、私の最も知らないことなのである。」(『パンセ』)

ここでの、「なぜ」という問いには意味がない。理由などないからだ。
その思いが切実であることは容易に感知できるが、そのことは「なぜ私にとって、私だけが特権的な存在であるのか」という問いを呼び起こす。

永井均は言う。
「無限の昔から、世界は〈私〉なしに存続してきた。わずか数十年(長くてせいぜい百年)の例外期間を過ぎて、世界はまた〈私〉なしに存続してゆくであろう。数十億の生きた人間、他の天体にも存在するであろう無数の自己意識的な生き物のうち、〈私〉であるという特殊な、例外的なあり方をした生き物が存在している。その例外的な期間とは何であり、その例外的なあり方とは何であるのか。それは神秘としか言いようがない。それを説明する言葉はありえない。」(「『私』の同一性と〈私〉の同一性」)

私は万人にとって特殊で、例外的なあり方をしているわけではない。私にとってだけ、特殊で例外的なだけだ。
なぜ、私にとってだけ、私だけが特殊で例外的で、特権的な存在なのか。
それは私が主観的に体験できる感覚は、すべて私のものだけで、他者のものではない、ということによっている。

私が失われれば、私にとっての世界はすべて失われてしまう。
もちろんその時点では私がいなくなっただけで、世界は変わらず存在しているのだが、
逆に世界が失われて、感覚を失った私だけが取り残されるかのように錯覚してしまいそうになる。
私の主観的な意識体験、クオリアは、私にとって唯一無二のものなのだ。

「わたしであるという唯一無二の特性をもつものを、宇宙がふくむようになったということへの驚きは、かなり原始的な感情なのである。」( トマス・ネーゲル『どこでもないところからの眺め』)

しかしもっと驚くべきことなのは、この世界に少なくとも人間の数だけ、唯一無二のクオリアが存在し、そのそれぞれのクオリアの一部を、私は発見し、交流し、共感することさえできるということだ。

そして、交流してみると、私達の主観的な体験が、かなりなまでに他者と共通していることが信じられるようになる。
私達はそのようにして自己中心的な世界観から脱し、言葉を介して人間の築いてきた文化に触れ、過去のもうこの世にはいない人々のクオリアにも共感する。
そのことで初めて、私が失われた後も、私のクオリアに共感してくれる人が現れることを期待することもできるのだ。
私はもう、孤独ではない。

私は、人間の過去から現在、そして未来に至るまでの意識の海を漂う、ひとつの波頭であり、あるいは飛沫である。
私は自分が考えているというより、私という場を使って、私を含めたいろんな人々が設定してきた課題や問題を解決しようとする。
私は自分が感じているというより、私という場を使って、誰にでも起こりうる体験を、特定の状況下で体験し、そのことを他者に伝えることができる。
私が失われても、私を育んでくれたこの意識の海は変わらず残っているし、今後もずっと残り続けると信じることができる。
私が孤独なあいだは、何のために生きても、死の恐怖から逃れることはできない。
しかし、私が孤独ではなくなれば、何かのために生きることができるし、私を犠牲にして、何かのために死ぬことすらできるのだ。(それがいいことかどうかは、場合によるのだが。)

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