光化学スモッグは中国からの越境汚染!

「光化学スモッグ注意報が8、9日に全国で相次いだのは、中国の大気汚染が日本に流入する「越境汚染」が原因である可能性の高いことが12日、国立環境研究所などのシミュレーション分析で分かった。梅雨入り前までは同様の状況が周期的に訪れる恐れがあるという。」(毎日新聞 2007年5月12日 15時00分)
今月の光化学スモッグは、西日本や日本海側に多く、田舎でいままで一度も注意報が出たことがない地域でも起こったことから、おかしいとは思っていたが。

さかのぼって見ると、酸性雨に関連して次のような指摘もある。
「日本列島全体に落ちる硫酸の割合を計算すると、中国で放出された物質の割合が約50%と非常に大きいことがわかります。」(2005年12月7日 国立環境研究所)

要は、このような写真を見てもひとごととは済まされなくなってきたというわけ、ですね。
画像

(2006年7月 中国河北省于田にて AFP配信)

動画ではやはりAFPのこんな配信がわかりやすい。
「急成長する経済、その陰で進む環境汚染 - 中国」(2007/5/3)
http://www.afpbb.com/article/1563858

あれこれ調べてみると、かなり以前から相当ひどいことになっている。
「・国内環境が急速に悪化。都市人口の66%、約2.4億人が大気汚染にさらされ、酸性雨汚染は国土面積の30%以上。都市水域の90%が汚染、7大水系の7割が重度汚染、400以上の都市が水不足、砂漠化面積が年間3400平方キロ(鳥取県規模)のペースで拡大。
二酸化硫黄排出量は年間約2000万トンと、世界最多。

・米国に次ぐ世界第二位のCO2排出大国。」
(中国の高度成長の陰に潜むエネルギー、環境問題 李志東 2003/3/17)
http://eneken.ieej.or.jp/data/pdf/611.pdf
この論文で李氏は「問題の核心は高度成長でも、途上国制約でも」ないとして、その一つに「行政と市民の監督能力が共に欠如していること」を挙げている。身もフタもない結論だけど、次のような実態を読むと、ほかになんとも言いようがむずかしい。

「中国ではエネルギーを石炭に大きく依存しているが、これは石油の埋蔵量がそれほど多量ではない代わりに、石炭が豊富に採掘できるという要因が大きい。しかし、外貨獲得のため良質の石炭は海外へ輸出するので、国内で消費する石炭は褐炭や泥炭といった質の悪いものである。このような石炭は燃やしても発熱量が少ないばかりか、硫黄含有量も多く、燃やすと大量の有機物質を含む煙が発生する。代表的なものが公害の原因となる二酸化硫黄である。
 石炭による二酸化硫黄が原因で悪化していく環境に歯止めをかけるべく、1998年より多くの郷鎮(日本でいうところの村、郡)炭鉱と呼ばれる非国営の小型石炭炭鉱が強制的に閉鎖された。これは、非採算的で質の悪い石炭しか生産出来ないそれらの炭鉱を直接規制し、国営の大規模な炭鉱で管理的に質の良い石炭を生産して、採算性を高め汚染も抑えようとする考えによるものである。…石炭使用量が1996年の約14億トンから2000年には約10億トンに急激に減少しているのはそのためである。しかし、この急激な減少の原因を説明するのは困難であり、つまりは統計には出ないヤミの取引、特に未登記の小さな私営炭鉱や、合理化のために政府によって閉鎖されたはずなのに実際には操業している(せざるを得ない)小炭鉱からの石炭産出がかなりの部分あると考えられる。このヤミ操業の割合は全体の4割に及ぶといわれており(日本国際貿易促進協会.2000)…貧しい労働者が限りなく低い賃金で安い石炭を生産し、中小企業はその安くて劣悪な質の石炭を使わざるを得ず、より環境汚染物質が発生するという流れが続いている。…
 さらにこのようなヤミ炭鉱では浸水事故やガス爆発による生き埋めなど事故が後を絶たない。」(「中国からの越境大気汚染問題」慶応大学経済学部 大沼あゆみ研究会空気パート 2006)

人民日報2006/11/28でも
「すでに閉鎖され、取り締まられた不法炭鉱が操業を再開している」ことなどを指摘している。
http://j.peopledaily.com.cn/2006/11/28/jp20061128_65396.html
この記事は2日間に4件の炭鉱でガス爆発事故等が起きて、それぞれ20人以上の死者が出たことを指摘してその原因を探っている。
大丈夫か。だいじょうぶなわけないか。しかし、以前に比べれば、こうしたことが記事になるということは、中国当局が現状を認めて少しずつ改善していこうとしているという点で、以前よりだいぶましになったということはできるように思う。
ただ、中央の指示に従わず、勝手にやって処分もされない地方の役人がいて、それが地方の公害企業を牛耳って、自国だけでなく日本や韓国にも酸性雨や光化学スモッグを引き起こしているという実情は、わかっておくべきだろう。

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