資本主義は終焉に向かうのか? ~ウォーラーステインの予言をめぐって~

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「私は米国民の半数は、今後起こっていくだろうことを受け入れられるとは思いません。国内で生じているさまざまな軋轢はエスカレートし、米国は世界で最も政治的に不安定な国になっていくでしょう。」
ル・モンドのインタビューに答えて、世界システム論で名高いウォーラーステインはこう語る。
(訳文は『クーリエ・ジャポン』12月号による。)
「今後起こっていくだろうこと」とは、いったいどんな事態だろうか。
「私はこの30年間で5世紀にわたって続いてきた資本主義システムが最終段階(la phase terminale)に入ったのだと考えています。」
「…状況は混沌として、それまで支配的だった力ではもはや世界を統御することができなくなり、“闘争”が始まります。それはシステムの支持者と反対者の闘争ではなく、むしろ次のシステムを決定するためのプレーヤー全員の闘争となるのです。…今、私たちは“危機”的状況にあり、資本主義は終焉に向かっているのです。」
「10年経てばもう少し状況は見えてくるでしょう。30~40年後であれば新しいシステムはすでにできあがっているはずです。そのときのシステムは、平等で再配分ができるものではなく、今の資本主義よりもさらに暴力的な搾取のシステムとなっている可能性もあります。」
「現在の危機は、1970年頃から顕著になった米国の覇権の時代の終わりにも対応しています。米国は、重要なプレーヤーではありえますが、西ヨーロッパ、中国、ブラジル、インドなどが台頭してくるなかで、これまで同様の支配的な立場を保持することはできないでしょう。」

ル・モンドの記者は、ジャック・アタリの『21世紀の歴史』を念頭に置きながらインタビューをしている。このような危機の時代には、未来を予言できる巨視的な世界観が、かなり切実に求められているのだが、いったい誰がそのことに答えることができるのだろうか。

今回の危機に臨んで、エコノミストはそれぞれに全く別の見解を開陳し、自分の正しさを主張している。しかし、今後の見通しとして共通しているのは、アメリカはこの不況からそう簡単に立ち直ることはできず、ブラジル、ロシア、インド、中国などの新興国の地位が相対的に高まることであり、その中で日本はどういう舵取りをすべきかが議論の的になっている。

麻生太郎は埋蔵金から10兆円、IMFに融資することを決めてしまった。
IMFは喜んでいる。あっという間に、そのカネの一部(5700億円)を国家破綻しているアイスランドに貸してしまった。しかし、ちゃんと戻ってくる保証があるのだろうか。
日本がIMFを支えなければ、新興各国は新ブレトンウッズ体制をめざし、IMFに代わる新しい国際金融機関の創設に走る可能性があった。ここでIMFに10兆円を日本が投入したということは、日本はアメリカ中心の今までの金融世界秩序で十分な利益を得てきたのだから、これからも守旧派としてその体制を全力で支えるという意思表示に他ならない。

たしかにBRICs諸国が、世界経済で覇権を握るようなことになったとしよう。そこに現れる世界は、おそらく今よりも「暴力的な搾取のシステム」で、耐え難い格差を地域間、階層間に生み出すことになりそうだ。金持ちはヘリコプターでビルからビルへ飛び歩くが、地上にはスラムが広がっていて、暴動は頻発し、治安状況は悪化する。各国は自国の国益のみを考え、国際協調は申し訳程度にしか行われなくなる。相手国の政府が独裁者であろうとなかろうと、資源を確保するためには財政的な支援を惜しまない。そんな国が覇権を握るかもしれないのだ。

もっとも、私はそう簡単にアメリカが覇権を手放すとは思えない。アメリカの景気は今後数年は、ゆるやかな右肩下がりで推移するのではないかと考えている。であれば、その間に借金漬けの国政の見直しと行過ぎた新自由主義の政策を修正する方向にシフトしていくことはできるだろう。

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